My comments to the Report of National Moon Exploration

The report of the Informal Meeting on Moon Exploration (of Japan) was published on July 29th 2010 at its 9th meeting. The information is available from  (here) in Japanese.  The list of public comments (invited for the draft of the report publicized at the 8th meeting) and the replies to them are also found in the information, among which the discussions on robots are interesting to read. This is an important report for robotics as one of its future orbits. I am among those who claim that  robotics could commit more challenging contributions in the range of 10 years. I would like to share my comments to the report which…

July 30, 2010 by in

The report of the Informal Meeting on Moon Exploration (of Japan) was published on July 29th 2010 at its 9th meeting. The information is available from  (here) in Japanese.  The list of public comments (invited for the draft of the report publicized at the 8th meeting) and the replies to them are also found in the information, among which the discussions on robots are interesting to read. This is an important report for robotics as one of its future orbits. I am among those who claim that  robotics could commit more challenging contributions in the range of 10 years. I would like to share my comments to the report which was submitted to the public comments (one can find the reply to it in the information) in what follows:

宇宙プログラムは国家プロジェクトである。人類の未知への挑戦や未来の生存のために絶対的に位置づけら
れるものであるからこそ、広く国民の応援をうけている。これが平成22年4月3日の「月探査ナショナル
ミーティング」の参加して一番深く印象に残ったことである。私は一人のロボット研究者であるが、単純な
コストや生産性の比較であらわされるような相対的な技術論が入る余地のない、歴史の漂白に耐える長期的
な展望を与える計画をもつことが宇宙プログラムの戦略には何よりも重要であると考える。

宇宙プログラムは上述のような科学的な挑戦である他に、社会的な挑戦の側面があることも、アポロ・ソユ
ーズの競争の時代からの事実である。国家の誇りをかかげ、同胞との一体感を与え、軍事・防衛技術となり、
極限技術の民生展開は成長産業をつくるなどの、社会的な広がりを持っていることも忘れてはならない。
回り巡って国民の関心を集めることで、科学や技術を持続可能な位置にとどめるためにも、宇宙プログラム
の決定にあたってはこの効果を軽んじてはならない。

極めて長期的には、われわれの子孫は宇宙に出てゆくか、消え去るかを選択する時期が来る。その選択の
機会を手にするためにも着実に科学の挑戦をすすめ、技術の蓄積をはからなければならない。この観点から
見えてくるのは惑星探査や有人探査技術であることはだれにも明らかである。わが国だけの開発で達成でき
るものではないとしても、これに向けて貢献することが、長期的な目標として掲げることができるもので
ある。月探査がそのような科学や技術の揺りかごになることを祈っている。

「月探査に関する懇談会」の「わが国の月探査戦略」~世界をリードするロボット月探査と有人宇宙活動へ
の技術基盤構築~(案)を読んで感じたことは、月の内部構造調査やサンプルリターンというミッションに
特化して、閉じてしまったかのような問題設定の議論の方向性への失望である。

冒頭の「月探査の目的」の①にあげた「太陽系探査のための宇宙技術を自ら確立する」との長期的な目的の
表明にもかかわらず、具体的な目標は、ローバによるサンプルリターンや地震計の設置による内部構造の
調査という分かりやすい地質学的な「科学」にすり替えられてしまっている。ここで得られる知識の発見
が世界初かどうかではなく、果たしてこの科学と技術の取り組みが長期的な宇宙プロジェクトの方向に
ベクトルをそろえたものかどうかという点について懸念と疑問を感じている。

有人惑星探査につながるような基地建設や、人間の宇宙活動支援技術、それを周辺から支援するさまざまな
技術の開発こそが重要で、月面は地質学の科学が目的ではなく、これらの長期的な有人宇宙技術の揺り籠と
しての位置づけを明確にすることが必要である。

これは限られた科学予算の中で失敗を許されない計画を立てる戦略として苦慮した末の結論ではないかと
好意的にみることも可能である。しかしミッションを成功確率だけから計算することは、人類の長期の
ミッションを歴史のなかで考えることを放棄してしまっているともいえる。日本の中の文部科学省の一部局
としてのJAXA中心の組織から、わが国全体の政策としてより高い視点から宇宙プロジェクトを見る組織
を考える時期ではないだろうか。

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